前身は、練馬区立石神井東中学校・演劇部!
劇団サム主宰 田代 卓です。
私が練馬区立石神井東中学校に赴任した当時、演劇部顧問として関わり、
現在の劇団サムの主宰に至るまでの誕生秘話をお話ししていきましょう。
前身は2009年、練馬区立石神井東中学校に誕生した演劇部。
その前年である2008年、石神井東中学校では「演劇同好会」として誕生していました。
私が石神井東中学校の教員として赴任した2009年、正式に演劇部が発足。
個性豊かな8名の新1年生が入部し、14名の部員で都大会・関東大会に出場する快挙を果たしました。
作品は、当時の校長の脚本作品
「イリュージョンVer.2009 宮沢賢治「銀河鉄道の夜」
ここから石神井東中学校(以降、石東中)演劇部の奇跡が始まります。
翌2010年、部員25名と同好会当時から4倍に増えました。
部員であった生徒(三好日生さん)のオリジナル脚本作品『夕輝~僕の生きていた証~』は、都大会・神奈川演劇講習会記念上演でも上演し、今でも上演される作品となっています。
翌2011年、部員が更に増えて33名。
東京都でも有数の演劇部へと発展していきました。
石東中演劇部が発足して4年目の2012年。
石東中演劇部は、さらに飛躍を遂げていきます。
この年、高校演劇での傑作『もしイタ~もし高校野球の女子マネージャーが青森の「イタコ」を呼んだら』で都大会から関東大会に選出。
金賞を受賞し、一躍脚光を浴びることとなりました。
その翌2013年。
東日本大震災を題材にしたドラマ・リーディングの傑作『空の村号』を舞台劇化し、翌2014年沖縄で開かれる全国大会に選出されました。
演劇部発足から6年目、田代の現役最後の年となります。
この年、現在の顧問である一丁田先生が新採で赴任し、石東中演劇部は新しい段階を迎えます。
一丁田先生が赴任した演劇部の1年目は部員がさらに増えて43名に。
その翌年は、さらに増えて遂に50名に達しました。田代は外部指導員として、この巨大化した演劇部の指導に再びあたるようになりました。
その後も50名に近い部員を保っている石神井東中学校演劇部は、東京一・全国でも有数の部員数を抱えた演劇部へと成長しました。
全国の中学演劇の部員数で、もっと多い学校が有っても、15クラス程・人数でも500名程度であり、これだけの部員数はほとんどあり得ない数字と言って良いでしょう。何しろ男女含めて全校生徒の1割近くが演劇部員なのですから。
そんな石東中演劇部ですが、現在も劇団サムと関わりを持ち続けています。毎回の劇団サムの公演では「合同公演」として上演を行い、石東中演劇部卒業生の中からは新たな劇団サムメンバーも誕生しています。
卒業後、OBOGが集まる!
さて、いよいよ劇団サム誕生のお話です。
劇団サムが結成されたのは私、田代が退職した2015年でした。
元顧問である私の退職を機に集まった、OBの一人が言いました。
「先生、私たちまたあのメンバーで劇をやりたい。」
それから半年近くたった9月のことです。
とにかく集まって「劇を作ろう」というプロジェクトが始まります。
選んだ作品は、賑やかな脚本である高校演劇の作品『桜井家の掟』
しかし「出来たらどこかでやろう」という上演の予定も無いままの状態でした。
翌2016年2月の上演計画もあったのですが結局まとまらず、上演が実現できたのは翌2016年の夏休み頃でした。そんな紆余曲折を経て上演した劇団サムの旗揚げ公演でしたが、たくさんのお客さんが観に来てくださり、賑やかで楽しい公演となりました。
劇団名である「サム」の由来
劇団名「サム」の由来は、主宰である私、田代の愛犬の名前から取りました。
劇団サムのメンバーが日頃、練習をする場所は、私の自宅にある居間です。
練習の時、いつも床を這うように歩き回っていたのが、ミニチュアダックスの「サム」でした。犬が歩き回る練習風景は珍しいので劇団名は『サム』にしました。
この愛犬サムですが、ちょっと警戒心が強いというか、臆病な犬でした。
その警戒心の「とばっちり」を受けたのが『桜井家の掟』でヤンキー役をやっていた河野君です(笑)彼はヤンキー役なので、劇中に威勢よく怒鳴り込んでくるのですが、練習中にも驚いて「ワワワワンッ!」と河野君に跳びかかっていった愛犬サム。
それ以来、河野君が練習に入るときは必ず繋がれるか、抱きかかえられるか…となった愛犬サムでした。
そんな愛犬サムですが2019年・秋、喉の癌で亡くなりました。
今は、きっと天国から団員の練習を見ていることでしょうね。
これからの劇団サム
「これからも続けるかどうかは未定」という私に、発足当時からずっと石東中演劇部の活動を支援して下さっている方が、劇団サムの旗揚げ公演後「十年は、続けて欲しい」と言ってくださったのが大変印象的でした。
劇団サムの活動も、すでに5年目。
公演も6回目を迎えようとしています。
団員たちには「自分(私)が死んだ後もこの活動が続いていたら、すごいよなぁ」と話していますが、そんな夢を叶えることがとても大変なのは、私も団員も十分に知っているます。しかし、団員たちは本気でそれに向かって頑張っているようにも感じます。
昨年(2019年)、劇団サムは練馬区生涯学習団体に登録しました。
若い劇団員たちは、まだまだ人生で学ぶべきことも多く、日々こころの揺れる年代のものたちであります。一人一人のこころの揺れに、劇団全体が揺さぶられることも少なくありません。
そんな中で「劇づくりと団員の心のケアと、どちらが大事?」など、難しい課題が出されることもあります。
もちろん、どちらも大事です。
その両方を大事に、道を模索しているのが劇団サムです。
そして、観に来てくださるお客さんを大切に、劇の質を高めようと頑張っていく…そんな劇団の活動に応援していただけたら幸いです。
今後とも、劇団サムをよろしくお願いいたします。
2020年3月 劇団サム主宰
田代 卓